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事例10 在タイ邦人間での殺人



被害者、加害者共に20-30代の若い世代のタイ在留邦人同士の殺人事件。金銭トラブルにより発生した事件で日本国内でも当時ニュース報道がされた。


「ラチャダーのマンション在住の邦人男性T氏が行方不明になった」とT氏の友人達や若い在留邦人数名により届け出が為され、マンションの監視カメラの映像から、同じく若い在留邦人男性U氏とM氏の2人が関係してるとし、警察が捜査。U氏とM氏は既に帰国済みだったが、アユタヤのガソリンスタンドのゴミ箱からT氏の腕時計や鍵等を発見。

ナコンラチャシマ・カオヤイ国立公園で、バナナの葉に覆われたT氏の遺体を発見(歯の治療痕などから確認)。


知らせを受け、日本からT氏の母親とお兄さんが夕方着便で来タイ。空港出迎え、ホテルへ送迎。日本から連絡を取っていたようでT氏の友人達数名とホテルでお話するとのこと。


翌日、午前中にホテル出迎え、大使館へ。領事部にて担当官より、様々な話がなされた。警察の確認や、火葬などの日程の他、遺体については死後一か月ほど時間が経過しており、腐敗が進み傷んでいるので、確認は無理せずとも良い旨や、公表されている関係場所と居住していたマンションなどに報道陣が待ち構えている可能性。その場合はご家族が映らないように、インタビューを受けさせないようにするなど事前に説明を受ける。


所轄の警察へ行き担当警察からの質問などを受け警察側の書類作成。チュラ大病院の遺体安置所へ行き、御遺体の確認。

お兄さんは見ておかないといけないとし、確認。母親はとても見れないから、代わりに見て来て欲しいと依頼される。既に1度見ていたこともあり、余り見たくなかったが、やむを得ずお兄さんと御遺体を確認。

呼吸を浅くしながら黒っぽくなった御遺体を見る。お兄さんはやはりショックなのか言葉に詰まっている様子。

お二人の精神状態の事も考慮し、早めに切り上げてラチャダーのアパートへ行ったが、幸い報道陣は来ていなかった。領事館から担当者3名が先に来ており合流。


T氏の居住していた部屋にて遺留品の回収、部屋の解約、支払いなどを済ませる。外を見るとアパートにご遺族が入った、という連絡をどこからか受けてたようで、日本の報道関係者10名程がアパートの玄関付近でスタンバイしている様子。

館員3名と自分の4名で母親とお兄さんを囲むようにして出口から急いで出て、車に乗せてホテルへ出発。

その晩、以前タイ駐在だった名古屋の方から「Kさん、夕方のテレビニュースに出とったがねぇ」との電話を貰った。

母親とお兄さんはまたT氏の友人達と会食。


3日目、ホテルにご家族を出迎え火葬の為にお寺へ。御友人等数名が葬儀に参列。簡易的な葬儀の後火葬。

翌日、御骨上げ、お骨を持って大使館領事部へ。

書類手続き、事件の展望などについて担当官からの説明。ホテルへ戻り休憩。空港まで送りチェックイン手続き、夜便で無事御帰国となり終了。



●事件のあらましについて

2-3日T氏行方不明として御友人達による届け出


事件当日

・U氏(当時30歳 大阪府)とM氏(当時30歳 愛知県)がT氏を監禁

・M氏はT氏の部屋へ行き、パソコンとキャッシュカードを持ち出し(防犯カメラに映る)

・M氏がT氏の部屋へ行っている間、U氏はT氏を殺害


・M氏とU氏でT氏の遺体をカオヤイに遺棄


事件翌日

U氏とM氏は帰国

(U氏はT氏を呼び出し、仲間のM氏と共に監禁。同日にM氏が外出中に、U氏はT氏の頭を浴槽に沈めて殺害。M氏は殺害には直接関与しておらず、戻ったらT氏が死亡していた。しかし二人は既に共犯。U氏とM氏はT氏の遺体をナコンラチャシマ県の森に運び、捨てた遺体にバナナの葉をかけてその場を後にし、翌日2人は日本に帰国)


1日後

アユタヤのガソリンスタンドのゴミ箱からT氏の腕時計や鍵等を発見


3日後

ナコンラチャシマ・カオヤイ国立公園で、バナナの葉に覆われたTさんの遺体を発見(歯の治療痕などから確認)


この間に母親とお兄さん来タイ


2週間後

タイ警察がM氏とU氏に逮捕状(携帯電話の通信記録から)


翌月

T氏の口座から現金を引き出したM氏逮捕


翌年

U氏逮捕

口座売買を目的とした広告を出した容疑、後にT氏殺害容疑で指名手配中と発覚


2010年12月8日 M氏に懲役13年の実刑判決

2011年3月18日 U氏に強盗殺人罪などで無期懲役判決


正に日本人が海外で一番警戒しなければならないのが日本人と言われる例

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