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事例5 家族に内緒でタイ観光に来て死亡

更新日:7月29日



タニヤのカラオケ店が数軒入っている某ビルにて、50代邦人男性H氏が階段から転げ落ち、頭を強く打って気絶。同行していた御友人4名が至近のクリスチャン病院に運び込むが、打ち所が悪く意識不明の重体でICUに入れられる。同行の御友人達はその後帰国され、病院側は医療費の支払いとH氏の容体について日本大使館に相談する。


H氏は既に脳死状態で回復の見込みがなく、生命維持装置を外したら死亡する状態であるとのことで、大使館は急遽日本の家族に連絡。大使館からの連絡を受けたH氏のご家族(H氏の妻、息子さん、娘さん)が来タイ。


夕方着の便でバンコクに到着され、空港出迎え後病院に直行する。

さぞ、びっくりされて心落ちされていると思いきや、奥様がご立腹。

それもそのはず、ご家族は広島県在住で、H氏は「仲間と4泊5日で四国へ旅行へ行く」と家族に話していた。在タイ日本大使館から連絡あった際、「なぜタイから?」と『振り込め詐欺』を疑われた模様。

外務省からの確認もあり、どうやら本当にタイで事故に見舞われたこと、それも既に回復の見込みがない状態であることを理解はしていた様子。


H氏は家族にウソをついてまでタイへ行き「海外旅行がばれないように」との意図があったのか「短期間なので大丈夫だろう」と思ったのか、海外旅行保険に加入しておらず、親族の渡航費、医療費、葬儀代など全て自払い。


ICUに入ってる日数分の医療費が既に200万円ほどに膨らんでおり、奥様としては「裕福な家庭ではないのに、急に高額な出費を強いられ、親族から借金をして日本から支払いに来た。一刻もはやくICUの機械を止めないと、家族の今後の生活がままならない」と激怒されているとの事。


その怒りが冷めやらぬまま病院へ到着。ICUにて機械に繋がれて寝ているH氏とご対面、担当医師による状況説明。「このまま生命維持装置をつけていても意識が戻るか分からない。呼吸も自力では出来ない状態」とのことで、「生命維持装置を停止し、このまま何もせず寝かしておけば翌日までには亡くなってしまうだろう」と告げられる。


大使館を通じて既にご家族の意思を病院へ伝えていた模様で、装置を外す同意書にご家族がサイン、同席している私も証人としてサインを求められる。

ある側面から見ると「人を死なせることに同意」する訳で、あとで何か問題が起きた時に、こちらに責任を問われると困るとは思いつつ、早く終わらせて御帰国頂く為には仕方ないと判断し、自分も証人の署名。


流石に生命維持装置停止の際には息子さんと娘さんは、うっすらと泣いていた様子。病院至近の徒歩圏内にある安いホテルを紹介し、そこまで案内。チェックイン手続きを手伝いその日は終了。


翌日の朝型にH氏が亡くなったとの通知がご家族、大使館に入った模様で、ホテルにご家族を迎えに行き病院へ。


病院で清算手続き。病院で預かっている遺留品受け取り。(H氏の御友人が病院で荷物を受け取る)葬儀場所と日時が決まってからの遺体搬出なので、遺体の保管料は搬出時に支払いとなる。

病院での清算と書類の手続きを終え、大使館に行き担当官より今後の手続き、流れの説明を受ける。


葬儀場所と日時が決まるまでは、特にすることもないのでご家族は少し観光に行ったり、2日ほど御家族だけで自由行動。そうしているうちに火葬場所、時間が決まったとのことで、葬儀の当日、ホテルに迎えに行き、車両にてお寺へ。


1時間ほどの簡単な葬儀を終え、火葬。

翌日の朝、御骨あげということで、ホテルへお出迎えし火葬を行った寺にてお骨上げ。その後お骨を持って大使館領事部へ行き遺骨証明などの書類手続き。担当領事より日本へ戻ってからの役所手続きについての説明をする。


ご家族はその日の夜便にて日本帰国。夕方に空港へお送りし、本件は終了となる。

今回のように家族に内緒で数日タイへ遊びに来る場合でも、海外旅行保険には絶対に加入しておくべきだ、と改めて考えさせられた。



■H氏のケースから学ぶべき教訓■

H氏のケースは、海外旅行保険に加入していないことの重大性を示している。たとえ短期間の旅行でも、必ず海外旅行保険に加入する。


海外旅行保険に加入していなかったために、ご家族は【高い時期の航空券代3名分】【葬儀費用】【高額な医療費】を負担することになり、悲劇的な結果となった。


海外旅行では、思いがけない事故や病気にかかる可能性は常にあり、滞在期間に関わらず、保険に加入しておくことが重要。


海外旅行保険には、以下のような補償が含まれる。

治療費用: 海外での治療費は、日本よりも高額になる場合があるが、海外旅行保険に加入しておけば、治療費補償

救援費用: 現地で入院や手術が必要になった場合、家族が駆けつける費用や、帰国費用などを補償

賠償責任: 旅行中に他人にケガをさせてしまったり、他人の物を壊してしまった場合の損害賠償責任を補償

携行品損害: 旅行中に持ち物が盗難や破損した場合の損害を補償

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